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西洋近現代美術における色彩論

2024年Aセメ 学部後期・大学院科目「美術史学特殊講義VII」(東京大学)

この講義では、西洋美術において色彩を分析するにあたり必要となる方法論や歴史的知識について学びます。美術史だけでなく、文学や科学との交差の中で培われてきた色彩論は、どのように実際の作品の制作実践に結びついてきたのでしょうか。必要に応じて古代・中世の色彩論も振り返りながら、このことを検討します。

風景画と舞台装飾の比較形象論

2024年度Aセメ 大学院科目「比較形象論II」(東京大学)

この授業では、19世紀末〜20世紀初頭の風景画と舞台装飾の関係性を論じた文献を扱い、講読します。

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絵画の色彩分析とその理論

2024年Sセメ 学部後期科目「芸術作品分析法I(2)・フランス表象芸術論」(東京大学)

この授業では、新印象派の画家ポール・シニャックによる著書『ドラクロワから新印象派まで』(1899)の講読を通して、色彩理論とその実践の分析方法について検討することを目標とします。外部講師による講演会も行います。

​教科書:Paul Signac, Delacroix au néo-impressionnisme (1899)

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​芸術と労働

​2024年度Sセメ 大学院科目「比較形象論II」(東京大学)

ジュリア・ブライアン=ウィルソン『アートワーカーズアートワーカーズ 芸術と労働のポリティクス』の講読とディスカッションを通して、芸術作品が成立する過程にある労働の問題について考えます。このことを通して、より広くは芸術における身体性というテーマに取り組むことが、授業の目標です。授業期間中は、テーマに関連する講師によるレクチャーも行います。創造行為を労働という観点から捉えた場合に、どのような理解が得られるのか、という点についても、みなさんと話し合いたいと思います。

​教科書:ジュリア・ブライアン=ウィルソン『アートワーカーズアートワーカーズ 芸術と労働のポリティクス』(フィルムアート社)/Julia Bryan-Wilson, Art Workers, 2009

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​テキストとイメージ

2023年度Aセメ 学部後期科目「比較芸術論II・フランス表象芸術論」(東京大学)

この授業では、Philippe Junod の著書 Chemins de traverse (2007)を講読しながら、美術作品の分析方法について学びます。作品を分析する際に重要となるのが、同時代の文学や思想との関係です。Junodの著述を手引きとしながら、作品を言語により記述し分析するという行為について学ぶだけでなく、mimesis(「模倣」)やdecorum(décor「装飾」の語源)といった概念の捉えかたと歴史、あるいは自画像やアトリエ画、廃墟といったテーマ設定の仕方についても学ぶことを目標とします。

教科書:Philippe Junod, Chemins de traverse (2007)

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美術史の歴史を読む

​2023年度Aセメ 大学院科目「比較文学比較文化演習III」(東京大学)

Christopher S. Wood, A History of Art History (2019)の講読を通して、美術史がどのように編まれてきたのかを学び、さらにディスカッションを通して、歴史学における相対主義と普遍主義について考えを深めることを目的とします。
本書が扱う時代は800年〜1960年までと非常に広く、その内容も、西洋中心ではありながら東洋美術史との比較を行う点、美術史的言説を文学・思想と比較している点など、非常に多岐にわたります。
中世西洋のキリスト教美術の歴史観とはどのようなものだったのか、ルネッサンスの美術家列伝はプリニウスの『博物誌』とどのように関係しているのか、中国における美術の歴史はどのように語られてきたのか、ゴシック・リヴァイバルはどのように19世紀の美術史的言説にあらわれるのか、ヘーゲルやニーチェの思想はどのように美術史家の歴史観と関わるのか、オスカー・ワイルドの美学は19世紀後半の「詩的美術史」とどう繋がるのか…こうした問いは、本書で扱われている内容の一部に過ぎません。
課題図書を手掛かりにしながら、単に情報を得るためだけにのみ歴史的著述を読むのではなく、同時代の文学や思想との関係を探りながら、時間感覚や美の概念の変化について考える知的な時間を、受講生の皆さんと共有したいと思います。

教科書:Christopher S. Wood, A History of Art History (2019)

​参考書:ヴァーノン・ハイドマイナー『美術史の歴史』ブリュッケ、2003年

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芸術における「触覚」の分析方法

2023年度Sセメ 学部後期科目「芸術作品分析法II」(東京大学)

これまでの美術史では、彫刻や絵画、建築を視覚的に分析するということが一般になされてきました。しかし実のところ、「触覚」もまた、芸術を鑑賞する際に重要な知覚を提供することを忘れてはなりません。このことに注目する研究はさまざまな分野においてなされています。この授業では、美術史的・写真史的・美学的・建築史的・認知科学的な分野において、芸術に「触れる」という観点からなされたさまざまな研究論文を読むことで、多角的に視覚文化を分析する手法について考えることを目的とします。

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前衛文化の共同体

2023年度Sセメ 大学院科目「比較文學比較文化演習III」(東京大学)

この授業では、パリを中心とする19世紀の前衛文化の形成から、ロンドンでも前衛運動が登場する第一次世界大戦前後までの、西洋近代美術における前衛と共同体の関係性について考察することを目的とします。前衛芸術は、個人主義に根ざすものでありながら、志を同じくする芸術家たちの集団的な運動としての側面も有していました。この共同体の中には、芸術家だけでなく文学者や批評家、コレクターも含まれており、そうしたさまざまな人々との関係性の網の目の中でこそ、前衛文化は育まれていくことになります。こうした動きがイデオロギーや階級、ジェンダーの問題とどう関わるのかについても、考えてみましょう。

芸術の価値形成

2022年度学部後期科目「比較芸術論演習」(東京大学)

芸術の価値とはどのように定められるものなのでしょうか。この授業では、この問いに批判的に取り組むためのテキストを読みます。とりわけこの授業で注目するのは、近代以降展覧会や博覧会が価値形成において果たしてきた役割と、その背景に働く政治的なイデオロギーとの関係です。過去の傑作とはどのようにして「傑作」としてみなされるのか、かつての万国博覧会において外国のものを「展示」する行為の中には、どのようなかたちで西洋中心主義が潜んでいたのか、他の文化を誠実に知ろうすることと興味本位で観光することとの違いとはなんなのか、そして展示行為におけるジェンダーやセクシュアリティの問題をどのように捉えるべきか。こうした問いについて、歴史的・理論的双方の観点から検討し、皆さんとディスカッションし考えることが、この授業の目標です。

美術館

20世紀芸術と遊戯

2022年度大学院科目「比較形象論II」(東京大学)

この授業では、ダダからポップ・アートにまで至る前衛芸術を、「遊び」という観点から論じたいと思います。19世紀以来、子供の遊戯やおもちゃは、文学や美術の重要なモチーフとなりました。それは子供時代へのノスタルジーを宿すものであり、また子供の純粋さや神秘を象徴するものであり、さらには大衆文化との接点をもたらすものでもありました。前衛芸術家たちは、そのような「おもちゃ」を、どのような意図や戦略にもとづいて作品に取り入れていたのでしょうか。そのことによって彼らはどのような「遊び」を試みていたのでしょうか。このことについて考えることを通して、私たち自身も芸術で「遊ぶ」ことの楽しさを味わいたいと思います。

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近現代美術における「作者」概念

2021年度後期大学院講義科目(神戸大学)
2022年度学部後期科目「比較芸術論II」(東京大学)

近現代においては、「作者」という概念は、芸術とは何かという問いについて考える上で、重要な役割を果たしてきました。また「作者」の問題は、「主体性」をどのように捉えるのか、主体と客体、個人と世界との関係とはどのようなものかという複雑な問いとも結びついています。この授業では、「芸術家」という職業意識の形成や、18世紀末に本格的に整備され始めた著作権の形成の歴史から出発しながら、モダニズム芸術を支えたオリジナリティの概念とそれへの懐疑、「作者」という記号をめぐるアートの取り組みに至るまで、さまざまな運動・作家・作品・展示・著述をもとに、
芸術実践の歴史と理論的布置の双方を分析の手がかりにして検討します。

アートギャラリー

西洋美術と政治・社会

2019年度後期大学院講義科目(神戸大学)
2020年度期前期学部講義科目(神戸大学)

社会における芸術の役割を芸術家が明確に意識していた19世紀初頭、「社会芸術」という呼称がフランスに誕生します。当初はフランス革命の精神を体現する啓蒙的な芸術のことを指す言葉でした。続いて、都市の貧困や労働者、農村の人々を描きながら、社会問題や階層を作り出すシステムを批判する主題や、社会が目指すべきユートピアのイメージを描く画家たちが登場します。芸術はこうして、政治や社会と密接に関わりながら展開しました。この講義では、19・20世紀西洋における、現代社会や政治を批判する芸術からプロパガンダ芸術まで、幅広く扱います。また普仏戦争から第二次世界大戦までの様々な戦争画や戦没者記念碑についても紹介します。
このことを通して、政治や社会をめぐる思想を伝える芸術と、自由で自律した表現としての芸術という、二つのあり方について検討してみましょう。

フィリップ・オーギュスト・ジェアンロン、《パリの風景》、1833年

近現代芸術と科学

2020年 後期 大学院講義科目(神戸大学)

この授業では、近現代芸術と科学の関わりについて概観しながら、西洋美術がどのように科学や技術の発展と関わって来たのかを講義します。

芸術は科学から大きなインスピレーションを得ながら発展し、古来より人体比率の理論を独自に発展させたり、ルネサンス以降は解剖学を教育に取り入れたりして来ました。

また18世紀以降になると、科学の実験・例証のイメージを描いた絵や、生物学や生理学、心理学、細菌学、進化論など、最新の科学を取り入れた芸術も登場するようになります。

この授業では、とりわけ ① 科学が例示してくれるものへの関心を示す芸術 ② 科学が構造的に示す事柄に対し芸術家が抱いた関心 ③ 科学の魔術的側面への芸術家の傾倒 について検討します。

文学と科学との関係、SF文学の誕生などについても、授業の中で解説する予定です。

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近現代西洋美術における肖像画

2019年度前期学部講義科目(上智大学非常勤)
2019年度後期学部講義科目(神戸大学)

近現代西洋美術の基本的な流れを把握し、その中で肖像の問題がどのように理解できるのかを学びます。
芸術作品に描かれた人々の姿には、政治・社会の流れや同時代の思想、芸術家の心理などが込められています。理想的な人間の姿や服飾の流行は、どのように変化していったのでしょうか。西洋の人々は、異国の人々をどのように描いたのでしょうか。また芸術家の自画像にはどのような変遷があったのでしょうか。芸術をめぐるシステムの変化や新しい技術の誕生は、どのように肖像画のジャンルの展開に影響を与えたのでしょうか。こういった問いに取り組むにあたって、一つ一つの作品を丁寧に見ることで、芸術と社会とのつながりについて考えてみましょう。

ティツィアーノ《ある女性の肖像》(通称ラ・スキアヴォーナ) 1510年頃 ロンド

西洋美術における
「記録」と「記憶」

2019年9月 学部集中講義(愛知県立芸大非常勤)

この授業では、20世紀美術史のなかでも、イメージによる「記録」と「記憶」の問題をあつかいます。激動の時代であった20世紀において、歴史的な出来事や社会はどのように芸術の中に記録され、記憶されてきたのでしょうか。このことを考える手掛かりとして、1930年代から第二次世界大戦、冷戦を経て1980年代までの芸術作品の制作と展示を解説します。また、イメージと記憶のテーマから出発することで美術史の方法論を考えなおし、現代人文学の分野において注目を集める「記憶論」についても検討します。このことを通して、1)20世紀美術の概略を理解し、2)芸術作品を読み解く美術史的手法を学ぶと同時に、3)近年の方法論・理論的議論を理解することを目標とします。

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近現代西洋の彫刻論

2019年2月 学部集中講義(沖縄県立芸大非常勤)

西洋近現代美術の諸相を、年代順に追うのではなく、鍵となる3つの概念(I. 芸術作品の自立性 II. アヴァンギャルドとキッチュ III. 芸術作品と集合的記憶)を通して浮かび上がらせます。とりわけ20世紀諸芸術(絵画やデザイン、コンセプチュアル・アートを含む)を理解するうえで欠かせない彫刻論に焦点をあてて論じます。

現代美術において、ジャンルを越境した創造は前衛文化に欠かせないものであると言えます。とりわけ20世紀における彫刻概念の拡充と彫刻論の展開は、そのジャンルの枠組みを超えて、諸芸術に大きな影響を与えました。この授業では、19・20世紀彫刻論を中心としながら、彫刻と絵画やデザインとの接点(着色彫刻やピュグマリオンのテーマ、複製とオリジナリティーの問題、彫刻家の著作権の歴史も扱う)、芸術と社会・政治との関係性に注目しながら、下記の目標に到達することを目指します。

・西洋近現代美術の基礎的な概念と批評言語をおさえます。

・西洋近現代美術の歴史的文脈(コンテクスト)を理解します。

・それらを理解したうえで、自分自身の問題意識につなげて考察します。

オーギュスト・プレオー(1809-1879)、《沈黙》、1842年.png
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